20 秘伝

秘伝の伝承・伝授には二つの意味が有ると思う。

一つは、代々伝承されて来た技法、知識を、秘密にして家族、一族、だけに伝授する。

一つは、特別な技法、知識、を特別な人だけに伝授する。秘伝、秘技を授ける。

では、陳式太極拳の秘伝について語る。

一つの歴史的事実を伝えよう。

陳家一族が何故太極拳を秘伝としたのか?

それは、中国の戦乱の時代に一族を守る自衛の為である。

明朝、中国の歴代王朝の一つ明の時代(1368年 – 1644年)。

当時中国の治安は大変悪く盗賊、匪賊が横行し多くの村落が襲撃を受けた。その中で、当時陳家溝の勇者達は太極拳でこの匪賊達を幾度も打ち負かした。ついには、盗賊、匪賊達は陳家溝を恐れて避けて通ったそうである。

後に、陳家溝の武勇伝は明の皇帝に伝わり、陳一族の勇者は皇帝の保鏢(公設ボディーガード)の仕事に就いたと言う。

当時、陳一族はこの武術を他民族に伝わらないように闇夜に練習を行なった。技を盗まれる事は、盗んだ者が敵になる可能性もある。そうなれば、死活問題である。

そして、女児には伝承しなかった。その理由は女性は嫁いでしまうので、他の民族に伝わる可能性があったからである。

これが、一つの「秘伝」と言う事である。現代では、女性の学徒の方が多いが(笑)

もう一つの秘伝。

秘技の伝授と言われている事に触れよう。

陳式太極拳に特別な秘技は存在するのか?

それは有るとも言えるし、無いとも言える。

老師の最高の技を伝授されればそれが秘技と言える。しかし、それを伝授されるにはその弟子の技量が問われる。

幾ら、老師が伝授しても弟子がその技術を習得出来なければ、伝授されたとは言えない。

よって秘技、秘伝とはそのレベルに到達した人しかわからない世界である。

一つの例えを言えば、陳小旺老師の抖勁(全身を震わせての発勁)は陳家溝で一番と言われている。私は老師からその技を教わった。しかし、老師のレベルにはまだ到達出来ない。もし、私が老師のレベルに到達出来たら秘伝を伝授されたと言えるだろう。

私は秘伝、秘技を伝授されるとはこう言う事だと思う。

余談では有るが、私の秘伝は正しく陳式太極拳を伝える技術です。その技術を全て伝えられる弟子はまだいない。

重道

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